2012-10-10

鉱山工学と資源工学の良書

今日は鉱山工学の良書を紹介します。他の工学分野でも、最良の入門書が最終的な良書であるように、鉱山工学でも入門書がバイブルとして扱われています。

入門書
Introductory Mining EngineeringIntroductory Mining Engineering
Howard L. Hartman,Jan M. Mutmansky
Wiley
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情報が少し古いのですが、Miningの歴史と主要な採掘方法(Surface miningやUnderground mining)をカテゴリー別に詳しく解説してくれています。時々「詳しく書き過ぎだろ!」と感じますが、Stripping ratioやDilutionなどの基本的な用語の定義や計算時の使用方法なども収録しており初学者に欠かせない一冊です。というか、欧米の大学のMining Departmentの初学者は必ずこの本を使いますので、資源関係の職(それこそ資源メジャーとか)を考えている人は必読です。


プロセシング
The Chemistry of Gold ExtractionThe Chemistry of Gold Extraction
John O. Marsden,C. Iain House,Iain House
Society for Mining Metallurgy
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金に限らず、多くの金属では鉱石を掘り出した後に、それらの鉱石を細かく砕き(反応表面積の増加)、溶液等を用いて金属を抽出し、溶液中に抽出した金属を還元して(固体に戻して)回収し、不純物や有毒物質を除去しなければなりません。この本では 金 (gold) を例にとってその様々な方法が解説されています。掘り出した鉱石中に含まれる金の純度や、その金と共にくっついている他の元素によって、金を取り出すまでの処理方法は実に様々。なぜそれぞれ違う方法を使わなければならないのか、これを理解する事によって、金属を掘り出した後のプロセスも深く理解する事が出来ます。


リスク評価
Reliability and Statistics in Geotechnical EngineeringReliability and Statistics in Geotechnical Engineering
Gregory B. Baecher,John T. Christian
Wiley
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鉱山には多くの施設があります。露天掘りされた鉱山そのものや、水を貯めておくためのダム、金属を抽出し終わった後に残る鉱滓(こうさい)を貯めておくための鉱滓ダムなど…、それらの施設の安全性・危険性を評価するための統計学的な手法が綺麗にまとまってあるのがこの本。Event TreeやFault Tree、Subjective ProbabilityやMonte-Carlo Simulationなどの現代のリスク評価には欠かせない手法に加え、Factor of safetyなどの指標、またそれらにどのように不確実性というものを取り入れていけばいいかという事を解説してくれています。数学的には少しチャレンジングなので、数学・統計学の参考書も併せて買うと良いかもしれません。少なくとも、統計学は下の本を買って通読するぐらいはしておきましょう。
統計学入門 (基礎統計学)統計学入門 (基礎統計学)
東京大学教養学部統計学教室
東京大学出版会
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マネジメント
Strategy Safari: A Guided Tour Through The Wilds of Strategic MangamentStrategy Safari: A Guided Tour Through The Wilds of Strategic Mangament
Henry Mintzberg,Joseph Lampel,Bruce Ahlstrand
Free Press
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巨大資源企業は往々にして多国籍企業で、内部で働く人間も様々なバックグラウンドを持っているのでマネジメントが非常に大変です。マネジメントに関してはたくさんの本があると思うのですが、UBCの鉱山工学科では代々Mintzbergのマネジメント論が支持されていますので紹介しておきます。日本語にも訳されているみたいですね。
戦略サファリ 第2版 -戦略マネジメント・コンプリート・ガイドブック戦略サファリ 第2版 -戦略マネジメント・コンプリート・ガイドブック
ヘンリー ミンツバーグ,ブルース アルストランド,ジョセフ ランペル,齋藤 嘉則
東洋経済新報社
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会計・プロジェクト評価
Finance for Engineers: Evaluation and Funding of Capital ProjectsFinance for Engineers: Evaluation and Funding of Capital Projects
Frank Crundwell
Springer London
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これは特に鉱山工学というわけではないのですが、あるプロジェクトがあった場合にどうやってそのプロジェクトの価値を評価し、2つ以上のプロジェクトがある場合にはどうやって優先順位をつけるか、また会計的にはどうなるのか、キャッシュフローの捉え方は?といったような、マネージャー層に上がるためには必須となる知識を解説してくれています。ここら辺は日本語でも良い参考書がたくさんあるので日本語で勉強してもいいかもしれませんね。


といった感じです。また折を見て追記していきたいと思います。(2013年9月17日に追記)

4 件のコメント:

  1. はじめまして。最近急に Mining engineering に関心が出てきて、こちらで紹介されている『Introductory Mining Engineering』を早速入手しました。
    他にも良書がありましたら、ぜひこちらで紹介してください!

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  2. >trnsltdさん
    はじめまして^^
    ご要望にお応えしていくつか追記しておきました。

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    1. 早速何冊もありがとうございます!!
      オンラインコースも探してみたのですが、こんなのがあるみたいですね。
      http://www.edumine.com/programs/certificate-in-mining-studies/

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    2. そうですね、オンラインで鉱山工学系の講義を受けるならEduMineがありますね。僕はUBCのMining Engineeringの学生なので無料でアクセスし放題なのですが、他の地域からコースを受講したりするのは有料だった気がします。iTunesやCourseraなどでも海外大学の講義が受けられますが、鉱山工学系はそもそも講義がほとんど無い上に、あったとしてもあまり良い講義ではありませんから、日本にいながら鉱山工学系の勉強をするならEduMineは1つの選択肢だと思います。例えば会社からそのような勉強をすることを要求されている場合、月額料金等は会社に負担してもらう事が出来ると思いますし。

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