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2014-01-15

海外就活の基本情報

そろそろカナダでの就活経験をここにまとめておこうと思います。

ここに書かれてある情報はカナダで2013年に主に資源業界で就職活動した筆者の経験をベースに書かれていますので、かなりバイアスがかかっている事をご承知の上で読み進めて下さい。



就活時期
日本みたいに新卒一括採用してみんなを同じ時期に採用!!ってやってる企業は少ないので、基本的には需要ベースで人材を募集しています。

このポジションの人が転職・辞職したから、このポジションやれる能力のある人募集中!みたいな感じです。


新卒 or 中途
上記を踏まえると「大学卒業したばっかりの人はチャンス少なくない?」という疑問が沸き上がってくるかもしれませんが、その通りです。大学出たての人を募集しているポジションも確かにありますが、資源メジャーでも全カナダから20人以下とかで狭き門です。


(某英豪系資源メジャーの新卒募集要件。)

それに比べて、中途採用は異常に豊富です。working experienceが5年以上あるとどこの会社見てもたくさん募集があります。能力ベース・需要ベースで採用するとそうなるのは当然ですね。

説明会とかでその事について聞くと「我々はどんなに業界の景気が悪くなろうとも、大学を卒業したての新しい世代を常に採用している。彼らこそが私達の会社の未来を作っているんだからね。採用を絶やすわけにはいかないよ。」とか言われますが、社交辞令です。景気が悪いとクビをたくさん切りますし、採用も絞ります。


採用の流れ
あくまで僕が受けた企業ですが

1. webからapply

2. 性格診断みたいなテスト(web)

3. webテスト
verbal reasoningとnumerical testを受験。いわゆる英語と数学のwebテスト。数学は高校数学以下のレベルで簡単だが、英語はわりと難しい。

4. 電話面接
面接っぽい質問とかは特に無く、記入事項の確認ともう一回webテスト受けてねという連絡。

5. webテスト
数学(前回とほぼ同じ難易度)と物理(中学生レベル)を受験。

6. ビデオ面接
Skype的なもので面接。2人面接して、1人は人事、もう1人は技術者。質問は典型的なもの。

7. 最終面接(オフィスで対面)
3人の技術者と面接。質問クソ難しい。

面接の結果はこちらのエントリ:進路を参照して下さい。


必要な資質・能力

職種・職務ごとに必要な資質・能力が違ってくるのは当然として、その上で一般論として述べます。

1. 勤務経験
Related fieldの勤務経験があると最高です。こういうプロジェクトに関わってこういうポジションでこういう事をしたというのはアピールしやすい最高の情報です。

2. 学歴
勤務経験が無い場合は、学歴(と成績)があなたの実力を示す客観的情報となります。海外の大学に留学する場合は成績に気を配りましょう。採用担当は日本の大学の成績表なんかより、英語圏の大学の成績表を信用します。

3. 資格
例えば技術者ならPEng (Professional Engineer)などを持っていれば、あなたの実力を示す客観的なデータとなってくれます。

4. 言語
その国で話されている言語に加え、その会社がオペレーションを持っている国で話されている言語を喋れる場合はプラス材料です。


労働ビザや運転免許証
働き始めるまでに手に入る事が確実な場合はwebでのapply時点で「持っている」にチェックをしておいて、面接でその旨を伝えましょう。webからのapply時点で「持っていない」とすると、アルゴリズムで自動的に弾かれる(あるいは優先順位が低くなる)可能性があります。


まぁ、そんな感じですね。書いてみるとすごく当たり前の事になってしまいました。日本でも大体同じですね。海外の場合は日本より「現在の」能力を重視するので、私はこういう事が出来ます!!」というアピールとそのバックアップが重要になります。

次は海外企業の面接での想定質問集とかを書いてみたいと思います。それでは(´・ω・`)ノシ

2013-12-21

進路

敗北しました。

会社名は出しませんが、某豪英企業Aからオファ−は貰えたものの希望とは違うオファー。何回も電話面接・ビデオ面接・対人面接をした挙句の結果だったので、しばらく打ち拉がれていました。

最終的にMineralogistとしての道を取るか、Mining Engineerとしての道を取るか、考えに考え抜いた挙句、Aで働く事はたまらなく魅力的だったのですがdeclineし、日本でMining Engineerとして働く道を選択しました。ということで、日本で鉱山に関わっている皆様、オイル・ガスに関わっている皆様、鉄・非鉄の技術者の皆様、4月からよろしくお願い致します。

日本にいないので同期とか2人ぐらいしか知らない上に、4月からいきなりジョインする事になるのですが大丈夫なんでしょうか…。とりあえず今はこのブログがサラリーマン奮闘記みたいにならない事を祈るばかりです。

2013-10-03

鉱山技師(Mining Engineer)の給料について

学内で鉱山会社の就職説明会があって、給料について言及されていたので備忘録的に書き留めておきます。日本では中々知る事の出来ないMining Engineerの給料についての情報源としてお使い下さい。

職務経験の無い学部卒業生あるいは修士卒業生は基本的に似たような扱いで給料も似たようなものになります。この場合、EIT(Engineer In Training)として雇われて、初年度の給料は以下のモデルケースのようになるそうです。

Base salary: $72,000
Bonus: $7,200 (depends on the performance, in this case 10% of base salary)
Relocation: $10,000
Contribution for pension: $6,480
Total: $95,680

ということで、1年目の給料は現在の為替で約900万円です。



一時期より下がったとはいえ、まだまだ高給ですね。投資銀行よりは低くて、コンサルよりは高いぐらいでしょうか。その代わり鉱山街に住まないといけませんが…。ただし、労働時間は週35時間(平日のみ)に明確に制限されていて、夏休みもまとめて20日、加えて有給休暇を年間25日、強制的に取らされるので労働場所以外はホワイト企業。Mining Engineerがカナダとオーストラリアの若者の間で人気なのも納得ですね。ちなみに基本的に給料や福利厚生は大手企業間でcompetitiveになっているので、どこも同じようなものです。

もちろん経験は評価されますが、日本みたいに歳を取ったら自動的に出世していくというわけでは無いので、3年目以降の給料はその人自身の実力によります。良いポジションをゲットできれば給料もポジションに併せて上がっていきます。ただ、こちらではエンジニア(理系)の方がいわゆる文系職より一般に給料が高いので、エンジニア→マーケターのようにポジションを変えると、役職が上がっても給料が下がる場合が多々あります。

それ以外に大きな鉱山会社での給料を決める要因としては、どの鉱石に関わっているかが重要になってきます。最近だと鉄鉱石・亜鉛・オイル・ガスのエンジニアのボーナスが高くて、金・マンガン・カリウムあたりはボーナスが少なめです。これに関しては市場の影響をモロに受けて決まるので、本人の実力はあまり関係ありません。運です。

エンジニアとしてずっとやっていく場合、順調に出世すれば35歳(10年目)で手取り2000万円ぐらいに達するらしいです。

さっさと稼いで45歳ぐらいでアーリーリタイアしたいものですね。それでは(´・ω・`)ノシ

2013-09-22

鉱山マンへの道は果てしなく遠い

今日はアメリカ・カナダの鉱山業界の就職事情についてでも書こうと思います。


出典:Snowden Group

2000年初頭から2012年にかけて鉱山業界は未曾有の資源バブルに見舞われ、会社の業績も給料もうなぎのぼり、求人過多で鉱山技師にとっては天国のような環境でした。22歳の大学卒業したての新卒が初年度から1000万円を超える年俸を手にするのもいたって普通の状況。そんな第二次ゴールドラッシュ的な雰囲気に魅せられ、日本からカナダに出てきた私にとっては地獄のような2013年です。

下のグラフは金(gold)と銀(silver)の直近1年の価格推移ですが、両金属とも2012年の10月2日に最高値を記録してからは2013年の7月目指して急降下。そこから少し持ち直していますが、結局最高値からは25%以上の下落を記録しています。


2012年〜2013年の金価格 / 出典:BullionVault


2012年〜2013年の銀価格 / 出典:BullionVault

これでも5年前・10年前から考えるといまだに信じられない程の高値なのですが、新卒の採用に影響してくるのは直近の業績なので、この価格下落の影響をモロに喰らって資源メジャー各社(BHP billiton, Rio Tinto, Vale, Glencore・Xstrata, Anglo American)は今年は新卒採用がありません。

他の資源も直近1年だと 石油・石炭・銅・アルミニウム・ニッケル・カリウム・リン・ウラン・マンガン あたりは軒並みやられています。
反対に、鉄鉱石とタングステンは2013年の上旬は下げていたのですが、1年前から比較すると上げてきています。

ということは鉄鉱石主体のRio TintoやValeなんかは景気が良いかというとそういうわけではありません。鉱山というのは金属価格が下がるとすぐにダメージを喰らうのに、金属価格が上がるとすぐにその恩恵を被れるわけではないのです。なぜなら、鉱山会社は金属価格が下がると鉱山技師や現地労働者をクビにして鉱山を操業停止させますが、金属価格が再び上がった時に操業再開するのには施設再稼働や労働者雇用にたくさんの時間と費用(鉱山会社にとってリスク)が掛かるからです。つまり、鉱山会社というのは金属価格の大きな下落局面があるとすぐに求人を絞り、しばらく上昇局面が続かない限り求人はなかなか回復しないのです。


出典:International Mining

まぁ、そんなこんなでカナダの資源業界での新卒就職は困難を究めております。鉱山での勤務経験が5年以上あるシニアの求人は全く衰えていなくて、むしろいまだに人気なんですけどね。生まれる時期を5年程間違えたというのをヒシヒシと感じる毎日です。

それでは(´・ω・`)ノシ

2013-03-18

Master Thesis Topic決定

3月になってから気温も暖かくなり、晴れの日が多くなってきたバンクーバー。


Aerial photo of downtown Vancouver: from 2012 CUPC

中間試験も終わり、海外での大学院生活にも随分慣れてきた。先学期は2つしか講義を取らなかったのに対し、今学期は4つも受講しているせいで課題・実験・予習・復習の量が先学期と比較にならない。

そんな中、受講している講義"Processing of Precious Metal Ores"という授業で感じた事を一つ。

この授業はその名の通り、金・白金などに代表される貴金属のプロセシングを扱う。元々、マテリアル出身ゆえ貴金属の抽出の化学反応などはある程度分かっているからこの授業はスルーかなと思ってたけど、教授に薦められたので受講。

驚いたことに、確かに化学反応は理解していたけど
・物理的に溶液がどのようにプラントの中を進んでいくか
・反応前後で溶質はどのような状態か
・溶質粒子はどのような大きさの分布を持っているべきか
・溶質はどのように溶液の中に投入されるのか
・反応後の溶質をどのような機械プロセスで取り出すのか

ということを全く分かっていなかった事に気付かされる。



The mineral processing operation at Caiman™: from Caiman


恥ずかしながら「ふん、Processing Engineerなんぞ。」という気持ちを抱いていた部分があったんだけど、この授業でその気持ちは完全に消滅。Processing Engineerスゴイな、と。



閑話休題



修士論文のテーマがある程度決定。順調に行けば期末試験後の5月からスタート。

手始めにこれ読んできて、って渡された本が600ページ超えてて早速涙目なんだけど、これぐらいサラサラ読めなくて何が大学院生だろうかという事で今日から通読開始。

Reliability and Statistics in Geotechnical EngineeringReliability and Statistics in Geotechnical Engineering
Gregory B. Baecher,John T. Christian
Wiley
Amazonで詳しく見る

Risk Analysisとか統計でジコジコやるのは趣味じゃないんだけど、やるしかないな…!!!

そんじゃ。

2013-02-05

大規模インフラと小さな最先端 | 技術の選択

先日、とある資源メジャーの副社長の方が大学で講演した時のお話。

簡単に言うと「鉱山から出る廃棄物を環境に優しい方法で捨てる新技術を10年ほど前に開発しました」という内容だったんですが、質疑応答の際に

「なんで10年も前に開発されたその新技術がまだほとんどの鉱山で使われてないんですか?」

という質問が出ました。それに対する副社長の答えが中々に興味深かったのでここに記しておきます。


良い質問ですね。実はその質問を受けるのは今回が初めてではありません。鉱山関係者では無い方々もここにはいらっしゃるようなので、今日は鉱山以外の例で説明してみようと思います。みなさんの好きなシリコンバレーの企業を使いましょう。
皆さんも良く使っているであろうYahoo!を思い浮かべて下さい。Googleでも構わないんですが、友人がYahoo!で働いてるので今回はYahoo!で説明したいと思います。あのような非常に大きな会社の大きなサービスにはたくさんの人が関わって運営しています。それぞれにバックグラウンドの異なる人達が世界中から集まってきて1つのサービスを作っています。そのような場で最新技術を標準採用した場合どうなるでしょうか?まず、そのような最新技術にキャッチアップしている人間が少ないという問題があります。ラーニングコストはキャピタルコストと違って、組織に対して突然大きなコストを強いるとパンクします。次に、もし問題が起こった場合の対処法が確立されていません。デバッグが出来ないのです。インフラの性質を帯びた大きなサービスというのはデフォルトした時に大変な被害が出ます。Yahoo!が落ちても死人は出ませんが、鉱山の場合は死人が出ます。そのため、万人がある程度は理解している事が保障されていて実証データも十分にありデバッグの容易な枯れた技術を使うという事は大きなサービスにとっては必要条件なんです。
最先端の技術を標準採用するのは、能力の高い人間だけを少数集めたベンチャー企業のやることです。我々も小規模な鉱山で十分に安全性を確保しながら実験を進めていますが、やはりそのような最先端技術の実証データはベンチャー企業の方々や小規模実験が生み出していく事が多いのです。そういうわけで、件のような最先端技術は大規模な鉱山ではまだ採用されていないのですが時代の経過とともにその数は増えていくでしょう。技術というのは革命とでもいえる物でない限りは突然普及したりはしません。技術をマネジメントし普及させるための様々なツールや方法論が確立され、あらゆる新技術において普及までに要する時間が短くなってはいますが、それでもやはり新しいiPhoneが出るたびに買い替えるようなペースでは進まないのです。



という内容でした。(もちろん英語で聴いたものを日本語に直しているので多少変な部分はありますが…)

巨大なIT企業の例が万人に分かりやすいのかはいささか不明ですが、日本に限らず最近の大学生はIT企業にやたら詳しかったりするのでチョイスしたんでしょう。講演の序盤に「なんで君達はIT企業がそんなに好きなの?」みたいな一幕もありましたし。

何はともあれ、大人数が関わる大規模な「開発」というものには業種が違えど共通する部分があるんだな。ということを理解できた楽しい講演でした。こんな物知り上司と働きたい。

P.S.
Gunosyの3160万円の資金調達のニュースもあり日本ではデータマイニングが大人気なようですが、農業の次に古い産業である鉱業(マイニング)から学べる事もたくさんありそうです。





2012-10-10

鉱山工学と資源工学の良書

今日は鉱山工学の良書を紹介します。他の工学分野でも、最良の入門書が最終的な良書であるように、鉱山工学でも入門書がバイブルとして扱われています。

入門書
Introductory Mining EngineeringIntroductory Mining Engineering
Howard L. Hartman,Jan M. Mutmansky
Wiley
Amazonで詳しく見る
情報が少し古いのですが、Miningの歴史と主要な採掘方法(Surface miningやUnderground mining)をカテゴリー別に詳しく解説してくれています。時々「詳しく書き過ぎだろ!」と感じますが、Stripping ratioやDilutionなどの基本的な用語の定義や計算時の使用方法なども収録しており初学者に欠かせない一冊です。というか、欧米の大学のMining Departmentの初学者は必ずこの本を使いますので、資源関係の職(それこそ資源メジャーとか)を考えている人は必読です。


プロセシング
The Chemistry of Gold ExtractionThe Chemistry of Gold Extraction
John O. Marsden,C. Iain House,Iain House
Society for Mining Metallurgy
Amazonで詳しく見る
金に限らず、多くの金属では鉱石を掘り出した後に、それらの鉱石を細かく砕き(反応表面積の増加)、溶液等を用いて金属を抽出し、溶液中に抽出した金属を還元して(固体に戻して)回収し、不純物や有毒物質を除去しなければなりません。この本では 金 (gold) を例にとってその様々な方法が解説されています。掘り出した鉱石中に含まれる金の純度や、その金と共にくっついている他の元素によって、金を取り出すまでの処理方法は実に様々。なぜそれぞれ違う方法を使わなければならないのか、これを理解する事によって、金属を掘り出した後のプロセスも深く理解する事が出来ます。


リスク評価
Reliability and Statistics in Geotechnical EngineeringReliability and Statistics in Geotechnical Engineering
Gregory B. Baecher,John T. Christian
Wiley
Amazonで詳しく見る
鉱山には多くの施設があります。露天掘りされた鉱山そのものや、水を貯めておくためのダム、金属を抽出し終わった後に残る鉱滓(こうさい)を貯めておくための鉱滓ダムなど…、それらの施設の安全性・危険性を評価するための統計学的な手法が綺麗にまとまってあるのがこの本。Event TreeやFault Tree、Subjective ProbabilityやMonte-Carlo Simulationなどの現代のリスク評価には欠かせない手法に加え、Factor of safetyなどの指標、またそれらにどのように不確実性というものを取り入れていけばいいかという事を解説してくれています。数学的には少しチャレンジングなので、数学・統計学の参考書も併せて買うと良いかもしれません。少なくとも、統計学は下の本を買って通読するぐらいはしておきましょう。
統計学入門 (基礎統計学)統計学入門 (基礎統計学)
東京大学教養学部統計学教室
東京大学出版会
Amazonで詳しく見る


マネジメント
Strategy Safari: A Guided Tour Through The Wilds of Strategic MangamentStrategy Safari: A Guided Tour Through The Wilds of Strategic Mangament
Henry Mintzberg,Joseph Lampel,Bruce Ahlstrand
Free Press
Amazonで詳しく見る
巨大資源企業は往々にして多国籍企業で、内部で働く人間も様々なバックグラウンドを持っているのでマネジメントが非常に大変です。マネジメントに関してはたくさんの本があると思うのですが、UBCの鉱山工学科では代々Mintzbergのマネジメント論が支持されていますので紹介しておきます。日本語にも訳されているみたいですね。
戦略サファリ 第2版 -戦略マネジメント・コンプリート・ガイドブック戦略サファリ 第2版 -戦略マネジメント・コンプリート・ガイドブック
ヘンリー ミンツバーグ,ブルース アルストランド,ジョセフ ランペル,齋藤 嘉則
東洋経済新報社
Amazonで詳しく見る


会計・プロジェクト評価
Finance for Engineers: Evaluation and Funding of Capital ProjectsFinance for Engineers: Evaluation and Funding of Capital Projects
Frank Crundwell
Springer London
Amazonで詳しく見る
これは特に鉱山工学というわけではないのですが、あるプロジェクトがあった場合にどうやってそのプロジェクトの価値を評価し、2つ以上のプロジェクトがある場合にはどうやって優先順位をつけるか、また会計的にはどうなるのか、キャッシュフローの捉え方は?といったような、マネージャー層に上がるためには必須となる知識を解説してくれています。ここら辺は日本語でも良い参考書がたくさんあるので日本語で勉強してもいいかもしれませんね。


といった感じです。また折を見て追記していきたいと思います。(2013年9月17日に追記)

2012-10-01

UBC Career Forum

UBCのキャリアフォーラムに行ってきました。日本で言うところの合同企業説明会と特に変わりはなく、たくさんの企業がブースを出していて学生はそこに行って話を聞くというスタイル。日本と違うのは学生が社員に質問しまくるところと、Facebookみたいな超巨大企業がブース出してるところ。

僕はまだ修士1年目なので行く気は無かったのですが、同じ学科の友人が「Mining関連の企業いっぱい来てたよ。」と言うので顔を出してみました。実際に行ってみると確かに50%ぐらいはMining関連の企業。さすが資源大国カナダ。かねがね、僕が働いてみたいと思っているRio TintoGordcorpBarrick GoldなどのMining Companyが来ていて大興奮でした。社員の方と話ながら「あぁ、この前まで日本に居たのに、今はカナダにいてカナダで就職しようとしているんだな。人生何が起こるかわからんね。」と少ししんみり。物思いに耽りながらもたくさんのブースを回って、合同企業説明会でおなじみの企業グッズを手に入れてきました(笑)

(写真クリックで拡大)

そろそろ中間試験も近づいてきた事だし、10月も始まった事だし、気合い入れ直して頑張りましょうかね。ちなみにバンクーバーはついに雨期に突入して肌寒くなってまいりました。セーター買わないとなぁ…。

それでは(´・ω・`)ノシ

2012-02-18

資源メジャーと天然資源まとめ

世界には巨大企業がたくさんあります。今日はその中でも特に、資源分野の採掘・流通・製品化などの権益を押さえている巨大企業(資源メジャー)について書きます。主にWikipediaの資源メジャー一覧のページを参考にしますが、各種資源の特徴も加筆しています。
(資源メジャーの業務について興味がある方は鉱山工学という学問を参照)


概要
資源の中で近代の人間生活にとって極めて重要なものは「石油」「天然ガス」「石炭」の三大資源であり、これら三大資源の地域別の埋蔵量は下図のようになっています。(縦軸:billion ton)
グラフ出典:WORLD COAL ASSOCIATION

それぞれの可採埋蔵量は、石炭は118年分、石油は46年分、天然ガスは59年分と推計されており、人類はあと100年ほどでエネルギーの大転換を迫られることになっています。可採埋蔵量のカラクリについてはこの記事あたりをどうぞ。
なぜ石油は「なくならない」のか?

そして21世紀は、間違いなくこの貴重な資源を管理する数少ない資源メジャー達の天下となる。そんな資源メジャーと貴重な資源を、今日は紹介します。

資源メジャーが存在する資源は主に下記の9つの資源。
石油
天然ガス
鉄鉱石
原料炭


ニッケル
ボーキサイト
ダイヤモンド
以下では、それぞれの資源の簡単な特徴と資源メジャーの名前を見ていきます。なお、各資源メジャーについての詳しい説明は別の記事で行います。





石油
 近代の人間生活と切っても切り離せない物質であり、身の回りに石油化学製品と名のつく物が非常に多いことからもその重要性が分かる。
海外では石油メジャーと呼ばれる巨大多国籍企業が探鉱・生産・輸送・精製・元売りまでを一貫して手がける垂直統合を行っているため、日本の石油会社も精製・元売りなどの下流事業のみではなく、探鉱・開発・生産などの上流事業も手がけるようになってきた。
(参考サイト:Wikipedia:石油,はてなキーワード:石油,organicsoul)

資源メジャー一覧
・エクソン・モービル(本社所在地:アメリカ)
・ロイヤル・ダッチ・シェル(本社所在地:オランダ)
・BP(本社所在地:イギリス)
・シェブロン(本社所在地:アメリカ)
・トタル(本社所在地:フランス)
・コノコフィリップス(本社所在地:アメリカ)



天然ガス
 一般に天然に産する化石燃料である炭化水素ガスのことを指す。天然ガスにはメタン・エタン・プロパン・ブタン・ペンタン以上の炭素化合物や窒素が含まれ、産出する場所によってその割合は少しずつ異なる。北アメリカ産・アルジェリア産の天然ガスには1 - 7%ものヘリウムが含まれており、世界の数少ないヘリウムの供給源となっている。
燃焼したときの二酸化炭素排出量はカロリー当りで、石油より少ない。ただし、主成分であるメタンの地球温暖化係数は大きいため、大気への放出は避ける必要がある。
液化天然ガス(Liquefied natural gas; LNG)は、気体である天然ガスを-162℃以下に冷却して液体にしたものであり、体積は気体の約1/600しかない。輸送・貯蔵を目的として液化される。
(参考サイト:Wikipedia:天然ガス,treehugger)

資源メジャー一覧
・ガスプロム(本社所在地:ロシア)
(他、多くのオイルメジャーが天然ガスも兼ねる)



鉄鉱石
 酸化鉄を主成分とし、赤鉄鉱・磁鉄鉱・褐鉄鉱などがある。
鉄鉱石は世界中から産出するものの、2006年時点の埋蔵量1,800億トンのうち、ロシア、オーストラリア、ウクライナ、中国、ブラジルの上位5カ国だけで約73%を占める。コスト・品質の面から商業的な鉱山が操業できるのは、オーストラリア、ブラジル、中国、カナダ、インド、ロシア、アメリカ合衆国、ウクライナなどに限られる。これらの国は、地面から直接鉄鉱石を掘り出す、露天掘りができる。特に、オーストラリアやブラジルの鉄鉱石はFeの占める割合が約65%と高品質である。
採掘された鉄鉱石は、ベルトコンベヤーなどの設備によって貨車や貨物船(河川用)に積み込まれ、輸出港まで運ばれる。そこから、鉱石運搬船という鉄鉱石専用の貨物船で外国へ輸出される。なお、トラックはコストが高いのであまり使われない。
(参考サイト:Wikipedia:鉄鉱石,東京大学総合研究博物館:鉄鉱物と鉄鉱床)

資源メジャー一覧
・ヴァーレ(本社所在地:ブラジル)
・リオ・ティント(本社所在地:イギリス、オーストラリア)
・BHPビリトン(本社所在地:オーストラリア)



原料炭
 粘結性・発熱量の高い石炭で、加熱炉などの燃焼用に使用される石炭とは区別される。粘結度に従って強粘結炭,弱粘結炭の別がある。銑鉄製造の高炉用コークスの原料に使用するものと、ガス発生炉用とがあるが、一般に前者では高粘結度が要求され,日本ではほとんどが輸入に頼っている。
(参考サイト:コトバンク:原料炭とは,Gas Prices USA)

資源メジャー一覧
・エルクバレー・コール(本社所在地:カナダ)
・エクストラータ(本社所在地:スイス)
・アングロ・アメリカン(本社所在地:イギリス)
・リオ・ティント(本社所在地:イギリス、オーストラリア)



 貴金属でありそのままの形で自然界に存在しているため、精錬が必要な鉄などよりも早く人類が発見できた。他の貴金属とともに人類最初期から利用された金属とされる。見栄えの良さや化学的特性を利用して指輪などの装飾品として、また美術工芸品や宗教用具等の材料として利用されてきたのに加え、貨幣または貨幣的を代替する品物として用いられてきた。
金は、耐食性・導電性・低い電気抵抗などの優れた特性を持ち、20世紀になってからは工業金属として様々な分野で使用されている。近年では、廃棄された工業用品(おもに携帯電話などの電子基板)を溶解し、金・リチウムなどの貴金属や希少金属を抽出する事業(いわゆる都市鉱山)も展開されている。
金は地球全体に広く分布しており、存在比は0.003 g/1000 kg程度(0.003 ppm)である。熱水鉱床は変成岩と火成岩のなかに生成する。金鉱床は銀・銅・水銀・硫化鉄、テルルなどのレアメタル、砒素を同時に産出することが多い。銀やレアメタルは鉱山の収益を補えるが、水銀や砒素は公害の原因になり、逆に収益に影響を及ぼすことがある。経済的に金鉱山と言える物は平均して1000 kgあたり0.5 gの金を産出する必要がある。典型的な鉱山では、露天掘りで1 - 5 ppm、通常の鉱山で3 ppm程度である。人間の目で見て金と分かるには鉱脈型の鉱床で少なくとも30 ppm程度の濃度が必要で、それ以下の金鉱石では鉱石内に金があることを人間の目で見分けることはほとんどできない。
 1880年代から南アフリカが金産出の2/3を占めていたが、2004年時点では1/3まで比率が低下した。オレンジ自由州とトランスバール州にある金鉱山は世界で最も深く掘られた鉱山となっている。1899年から1901年までのボーア戦争はイギリスとボーアの鉱山労働者の権利と、南アフリカの金の所有権に関する争いである。その他の主な金の産出地はロシア、カナダ、アメリカ、オーストラリア西部にある。
日本ではかつて、比較的多く金が産出した。マルコ・ポーロの東方見聞録などで「黄金の国」と呼ばれていたのも、日本産の金が出回っていたからである。戦国期には甲斐国において黒川金山や湯之奥金山が稼業し、金山衆により採掘された金鉱石を粉成、精錬し金生産を行なっていたと考えられている。しかしながら、江戸時代前期以降は国産の金山は徐々に衰え始めた。たとえば有名な佐渡金山もすでに採掘をやめ、現在は観光地化している。この一方、現在海底の熱水鉱床からの産出が将来的に期待されている。
(参考サイト:Wikipedia:金,PAWNBROKERS TODAY,Michigan Technological University:A. E. Seaman Mineral Museum)

資源メジャー一覧
・ニューモント・マイニング(本社所在地:アメリカ)
・アングロ・アメリカン(本社所在地:イギリス)
・バリック・ゴールド(本社所在地:カナダ)
・ゴールドフィールズ(本社所在地:南アフリカ共和国)



 銅は先史時代から使われてきた金属である。銅とスズの鉱石は混在することから、メソポタミアでは紀元前3500年頃から銅にスズを混ぜた青銅で道具を作るようになった。青銅器はエジプト、中国などでも使われるようになり、世界各地で青銅器文明が花開いた。
金と同じく、耐食性の高さなどから古来より貨幣の材料としても利用されている。日本の硬貨では5円硬貨が黄銅、10円硬貨が青銅、50円硬貨、100円硬貨、旧500円硬貨が白銅、新500円玉がニッケル黄銅という銅の合金である。また、元素記号の Cu は、ラテン語の cuprum から。この語はさらに cyprium aes (キプロス島の真鍮)に由来し、キプロスにフェニキアの銅採掘場があったことに由来する。
銅鉱石の生産は世界全体で1510万トン(2005年現在)である。その内訳はチリが35.2 %と大半を占め、以下米国7.5 %、インドネシア7.1 %、ペルー6.7 %、オーストラリア6.1 %、中国5.0 %、ロシア4.6 %と続く。かつて日本は日本三大銅山とされる足尾銅山、別子銅山、日立銅山等、多くの鉱山をかかえた輸出国であったが、現在は全て廃鉱となり100 %輸入に頼っている状態である。
(参考サイト:Wikipedia:銅)

資源メジャー一覧
・コデルコ(本社所在地:チリ)
・フリーポート・マクモラン(本社所在地:アメリカ)
・BHPビリトン(本社所在地:オーストラリア)
・リオ・ティント(本社所在地:イギリス、オーストラリア)



ニッケル
 地殻中の存在比は約105 ppmと推定されそれほど多いわけではないが、鉄隕石中には数%含まれる。岩石惑星を構成する元素として比較的多量に存在し、地球中心部の核にも数%含まれると推定されている。
光沢があり耐食性が高いためめっきに用いられるほか、ステンレス鋼や硬貨の原料などにも使用される。優れた軟磁性を生かして変圧器の鉄心や磁気ヘッドに、その耐熱性を生かしてタービン用コンプレッサ材料等に用いられる。その他にも、チタンとニッケルの1:1の合金は最も一般的な形状記憶合金となる。さらに、水酸化ニッケルはニッケル・水素蓄電池やニッケル・カドミウム蓄電池等の二次電池の正極に使われる。
ニッケル鉱石の生産は世界全体で134万トン(2009年現在)である。その内訳はロシアが19 %、オーストラリア14 %、インドネシア12 %、カナダ10 %、ニューカレドニア7 %となっている。この金属は、日本国内において産業上重要性が高いものの、産出地に偏りがあり供給構造が脆弱である。日本では国内で消費する鉱物資源の多くを他国からの輸入で支えている実情から、万一の国際情勢の急変に対する安全保障策として国内消費量の最低60日分を国家備蓄すると定められている。
(参考サイト:Wikipedia:ニッケル)

資源メジャー一覧
・ノリリスク・ニッケル(本社所在地:ロシア)
・インコ(本社所在地:カナダ、2006年にヴァーレによって買収)
・WMCリソーシズ(本社所在地:オーストラリア、2005年にBHPビリトンによって買収)



ボーキサイト
 ボーキサイトはアルミニウムの原料であり、酸化アルミニウムを 52% - 57% 含む鉱石である。アルミニウムは非常にありふれた元素であり、地殻中には3番目に多く存在するが、そのほとんどがアルミノケイ酸塩として存在する。アルミノケイ酸塩はケイ素との結合が強く精錬が難しいため、ボーキサイト以外の鉱物から取り出すのは経済的に見合わない。
ボーキサイトを精錬することによりアルミニウムの新地金が得られるのだが、精錬過程の溶融塩電解で非常に多くの電力を要する。一方、アルミニウムスクラップを溶解再生するエネルギーは新地金の製造エネルギーの 3~5%台と少なくて済み、日本国内に製品として備蓄されている約 7 年分のアルミニウムをリサイクル原料として有効に活用することは、重要なことである。
2006年の産出量は1億9000万トンであり、オーストラリアが 35.5% を占めていた。

(参考サイト:Wikipedia:ボーキサイト,季刊誌「アルミニウム」2002年1/2月号掲載:アルミニウムのリサイクル,Alcor Technology:Bauxites of the World)

資源メジャー一覧
・ルサール(本社所在地:ロシア)
・アルコア(本社所在地:アメリカ)
・リオ・ティント(本社所在地:イギリス、オーストラリア)
・アルキャン(本社所在地:カナダ)
・BHPビリトン(本社所在地:オーストラリア)
・中国アルミニウム(本社所在地:中国)



ダイヤモンド
 ダイヤモンドは、炭素の同素体の1つであり、実験で確かめられている中では天然で最も硬い物質である。宝石や研磨剤として利用されており、結晶の原子に不対電子が存在しないため電気を通さない。
ダイヤモンドの結晶形成には非常に高い圧力が必要となるため、マントル内で形成され、地殻の変動や火山活動などで地上付近にせり上がってきたものが発掘される。ひとつのダイヤモンドが形成されるには、数百万年から数千万年もの時間が必要だと考えられている。
ダイヤモンドを含む岩石は、主に「キンバーライト」と呼ばれる火成岩の一種であり、その含有率は極めて低く、数千万分の一程度。その中でも、宝石級のものは2%にも満たないほど希少である。
ダイヤモンドは非常に高い屈折率をもっている。そのため、「シンチレーション」と呼ばれる表面反射、「ディスパーション」と呼ばれるプリズム効果による虹色の輝き、「ブリリアンシー」と呼ばれる内部を通った光の全反射、これら3つの輝きによってダイヤモンド特有の豪奢な輝きが生まれる。
2004年時点の総産出量は15600万カラット。ロシア (22.8 %)、ボツワナ (19.9 %)、コンゴ民主共和国 (18.0 %)、オーストラリア (13.2 %)、南アフリカ共和国 (9.3 %)、カナダ (8.1 %) の上位6ヶ国で、世界シェアの90%を占める。

(参考サイト:Wikipedia:ダイヤモンド,Diamond 12)

資源メジャー一覧
・リオ・ティント(本社所在地:イギリス、オーストラリア)
・デビアス(本社所在地:南アフリカ共和国)
・アングロ・アメリカン(本社所在地:イギリス)
・アルロサ(本社所在地:ロシア)



日本と資源メジャー
日本は世界的に見て工業大国であり経済大国であり消費大国です。資源を消費することから逃れることはどんな国も出来ません。そして、日本は鉱石資源の保有量が極めて少ない先進国であり、資源メジャーが存在しません。

出典:Mint Map: The World's Resources by Country

工業製品の原材料である鉱石を安定的に確保するのは日本にとって極めて重要です。現状、資源メジャー(BHP billiton, Rio Tinto, Anglo American etc...)からの輸入に頼っていますが、価格交渉権は持ち合わせていません。


それでは日本はお先真っ暗かと言うとそうでもありません。実は、日本でも資源獲得・鉱山権益獲得に力を入れている会社が存在します。そう、日本の誇る総合商社(三菱商事、三井物産、住友商事etc...)です。莫大な資金を投入すると提案してるのに権益のシェアを断られたり、国営企業への買収提案を拒否されて株主になれなかったり、と海外資源メジャーに対して手をこまねきつつも着実に歩を進めているようです。日本企業で資源関係のお仕事に携わりたかったら総合商社、JX、JOGMECあたりがいいのかもしれませんね。

・併せて読んでほしい参考エントリ:鉱山工学という学問